法第2条第7項

危険物の定義

消防法では、危険性を有する物質のうち、法別表 で品名を指定し、同表の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものを「危険物」と定義し、危険物の貯蔵・取扱い等に関して火災予防の見地から保安規制を行っている。

 

危険物の種類 政令第1条の3〜第1条の9

法別表

1類:酸化性固体

 ハロゲン酸塩、硝酸・過マンガン酸・重クロム酸塩、無機化酸化物

2類:可燃性固体

 硫化リン、硫黄、赤燐、鉄粉、金属粉、マグウネシウム、引火性固体(引火点<40℃)

3類:自然発火性・禁水性物質

 KNaAlRLiR、黄燐、アルカリ(土類)金属、有機金属、金属水素化・リン化物、 CaC2AlC、塩素化珪素

4類:引火性液体

 特殊引火物:発火点<100℃、引火点<-20℃かつ沸点<40℃(エーテル、二硫炭等)

 第1石油類:引火点<21(アセトン、ガソリン、トルエン)

 アルコール類:C3までの飽和アルコール

 第2石油類:21<引火点<70(灯油、軽油)

 第3石油類:70<引火点<200(重油、クレオソート油)

 第4石油類:200<引火点<250(ギヤー油、シリンダー油)

 動植物油類:引火点<250(動植物油)

5類:自己反応性物質

 有機過酸化物、硝酸・ニトロ系、アゾ系、ヒドラジン誘導体、ヒドロキシルアミン(塩)

6類:酸化性液体

 過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物

 

○第1類は酸塩

○第2類は金属と第3周期非金属

○第3類はアルカリ系金属と水素化&有機金属

○第4類の引火点区分は、20,70,200,250

 一般的な有機溶剤はほとんど第2石油類

○第5類はNONNNOH

○第6類は過酸と硝酸

 

政令別表第3

指定数量

運搬および指定数量以上の貯蔵・取扱い:危険物関係法令(消防法等)にて基準が制定

指定数量未満の貯蔵・取扱い:市町村の火災予防条例にて基準が制定

 

1類:酸化性固体

 第1種:50kg

 第2種:300kg

 第3種:1000kg

2類:可燃性固体

 硫化燐、赤燐、硫黄、第1種:100kg

 鉄粉、第2種:500kg

 引火性固体:1000kg

3類:自然発火・禁水性

 KNaAlRLiR、第1種:10kg

 黄燐:20kg

 第2種:50kg

 第3種:300kg

4類:引火性液体

 特殊引火物:50l

 第1石油類:200l(非水溶性)/400l(水溶性)

 アルコール類:400l

 第2石油類:1000l(非水溶性)/2000l(水溶性)

 第3石油類:2000l(非水溶性)/4000l(水溶性)

 第4石油類:6000l

 動植物油類:10000l

5類:自己反応性

 第1種:10kg

 第2種:100kg

6類:酸化性液体

 300kg

 

○危険度の高い第3,5類は少なめ

○第4類の水溶性は非水溶性の2

 

法第10条、11条、16条の9

貯蔵・取扱い等の禁止

指定数量以上の危険物の貯蔵・取扱いは、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所および取扱所以外の場所でこれを取扱ってはならない。

仮貯蔵・仮取扱い

ただし、10日以内の期間の貯蔵又は取扱いについては、消防長(消防本部未設置の場合は市町村長)又は消防所長承認を受けることで、仮貯蔵・仮取扱いが認められる。

設置の許可

また危険物施設を設置しようとするものは、政令に定める基準に適合させて、市町村長の許可を受けなければならない

適用除外

航空機、船舶、鉄道又は軌道による危険物の貯蔵、取扱い又は運搬については航空法等、各法の規定に従うため、消防法の適用外となる。ただし給油を行う場合については、適用を除外されるものではない。

 

製造所・貯蔵所・取扱所3つに分類される

製造所:危険物を製造する施設

貯蔵所:危険物を貯蔵し、または取扱う施設

 屋内貯蔵所:屋内の場所

 屋外タンク貯蔵所:屋外にあるタンク

 屋内タンク貯蔵所:屋内にあるタンク

 地下タンク貯蔵所:地盤面下に埋没されているタンク

 簡易タンク貯蔵所:簡易タンク

 移動タンク貯蔵所:車両に固定されたタンク

 屋外貯蔵所:第2類(硫黄と引火性固体)、第4類(引火点0度以上の1種石油類〜取扱所:危険物を取扱う施設

 給油取扱所:車両(total40kl以下、1タンク20kl以下)および容器への固定給油設

 販売取扱所:容器入りのまま販売する施設(第1種:指定数量15/2種:40

 移送取扱所:配管やポンプにより危険物を移送する施設

 一般取扱所:上記以外、および消費する施設

 

法第10条〜14条

申請等の手続き

許可 設置:危険物施設の設置

   変更:危険物施設の位置、構造、設備変更

承認 仮貯蔵・仮取扱い指定数量以上の危険物の、10日以内の仮貯蔵・仮取扱い

   仮使用:危険物施設変更時、変更部以外の部分の仮使用

検査 完成前検査

    タンク本体液体タンク貯蔵所の水圧・水張検査

    基礎・地盤・溶接部1000kl以上の屋外タンク貯蔵所の各検査

   完成

    設置設置許可を受けた危険物施設が完成

    変更変更許可を受けた危険物施設が完成

   保安

    定期10000kl以上の屋外タンク貯蔵所、特定移送取扱所の保安検査

    臨時1000kl以上の屋外タンク貯蔵所・特定移送取扱所

         不当沈下等が発生した時の保安検査

認可 作成・変更予防規定を作成・変更

届出 譲渡・引渡:危険物施設の譲渡・引渡

   変更:危険物の品名、数量、指定数量の倍数変更(変更の10日前まで)

   廃止:危険物施設の用途を廃止

   選解任危険物保安統括管理者・危険物保安監督者の選解任

 

○原則的に市町村長が対象だが仮貯蔵・取扱いは消防長or消防署長が承認

○届出の内、変更は10日前までに届出、その他は遅滞なく届出

 

法第10条第4項、政令第9条1項

保安距離、保有空地

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保安距離
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安全性の確保の観点から、危険物の規制に関する政令9条によると、
「ある建物・施設について特定の危険物施設は、一定の距離を取る必要がある」といっています。
これを保安距離といいます。

必要な危険物施設は製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所・屋外タンク貯蔵所です。

一般住宅と・・・10メートル
高圧ガス施設などと
・・・20メートル
7000V35000Vの高圧架空電線・・・3メートル以上
35000Vを越える高圧架空電線・・・5メートル以上
学校・病院・劇場・福祉施設などと
・・・30メートル
重要文化財
・・・50メートル


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保有空地
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防災活動の円滑性の観点から、施設の周りに空地も必要とのこと。(保有空地)
政令によると。空地が必要なのは前述の製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所・屋外タンク貯蔵所に加えて、
屋外にある簡易タンク貯蔵所・地上にある移送取扱所、です。
移動タンク貯蔵所は当然規定なしで、地下も規定なし。
保安距離とくらべてやっかいなのは、幅の規定がそれぞれの施設によって違うということです。

なお、屋内タンク貯蔵所には保安距離、保有空地は必要ありません。

政令により保有空地は、各施設毎に規定されています。
指定数量(の倍数)が大きく関係しているといえます。

1.製造所の場合
製造所はあんまりややこしくないです。

扱う指定数量の倍数

必要な空地の幅

10以下

3メートル以上

10超え

5メートル以上

 

2.屋内貯蔵所の場合
ややこしいです。

壁・柱・床が耐火構造か否かで必要な保有空地の幅は異なる

扱う指定数量の倍数

耐火構造の場合

耐火構造以外の場合

5以下

0メートル

0.5メートル以上

5超え10以下

1メートル以上

1.5メートル以上

10超え20以下

2メートル以上

3メートル以上

20超え50以下

3メートル以上

5メートル以上

50超え200以下

5メートル以上

10メートル以上

200超える

10メートル以上

15メートル以上

以外の場合当然必要幅が大きくなります。1.5倍くらいにになっていると覚えて下さい。

3.屋外貯蔵所の場合
屋外貯蔵所は、屋外に危険物があるので、当然必要な空地の幅も広いです

扱う指定数量の倍数

必要な空地の幅

10以下

3メートル以上

10超え20以下

6メートル以上

20超え50以下

10メートル以上

50超え200以下

20メートル以上

200超える

30メートル以上

4.一般取扱所
嬉しいことに製造所と同じ

5.屋外タンク貯蔵所
※屋外にあるとはいえ、タンクの中に厳重にしまってあるので、指定数量の倍数の設定が大きめ

扱う指定数量の倍数

必要な空地の幅

500以下

3メートル以上

500超え1000以下

5メートル以上

1000超え2000以下

9メートル以上

2000超え3000以下

12メートル以上

3000超え4000以下

15メートル以上

4000超える

タンク直径又は高さ

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給油空地
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製造所などに必要な保有空地とごっちゃにしてはならないのが、
給油取扱所(ガソリンスタンド)に必要な給油空地です。
これは車の出入り口です。(出入り口が広く敷地全体がわかるぐらいです)
実際危険物の規制に関する政令で決まっているのは、間口10メートル以上奥行き6メートル以上です。

 

法第13条、政令第32,34,35条、規則第50〜52条

危険物の取扱いは、危険物取扱者or取扱者の立会いの下でのみ可能

免状の区分

 甲種:全類の取扱いおよび立会い可

 乙種:免状のある類の取扱いおよび立会い可

 丙種:ガソリン、灯油、軽油、第3石油類〜動植物油類、の取扱いのみ

 

手続き

交付:試験場所の都道府県知事に申請し、交付を受ける

書換え:記載事項の変更or10年経過した場合、居住地or勤務地を管轄する都道府県知事に申請

再交付:亡失、滅失、汚損、破損の場合、交付or書換えを受けた都道府県知事に申請。

    再交付後、免状を発見した場合は、10日以内に亡失した免状を提出

 

保安講習

危険物取扱作業に従事している危険物取扱者は、都道府県知事が行う講習を3年に1受講。再従事の場合は、開始から1年以内に受講。但し2年以内に受講or交付の場合は3年以内。

 

返納命令

都道府県知事は、危険物取扱者が法に違反している場合、免状の返納を命ずることが可。この時、危険物取扱者はその資格を直ちに喪失する。

 

欠格事由(免状の不交付)

(a)都道府県知事から免除の返納を命ぜられ、1年以内の場合

(b)消防法等に違反し、罰金以上の刑に処せられた者で、執行終了から2年以内の場合

 

法第13条、政令第31条、規則第48,59条

危険物保安監督者 

資格:甲種or乙種(免状を保持している類のみ)

業務:作業者および保安員への指示、災害時の応急措置および連絡、取扱者の監督、点検・記録・保安(保安員がいない場合)

選解任:選解任時は届出、法違反時は市町村長から管理者へ解任命令が可能

 

選任を必要とする製造所等

 製造所必須

 屋内貯蔵所4類指定数量30以下引火点40度以上の場合は対象外

 屋外タンク貯蔵所必須

 屋内タンク貯蔵所4類引火点40度以上の場合は対象外

 地下タンク貯蔵所4類指定数量30以下引火点40度以上の場合は対象外

 簡易タンク貯蔵所4類引火点40度以上の場合は対象外

 移動タンク貯蔵所対象外

 屋外貯蔵所指定数量30以下の場合は対象外

 給油取扱所4類以外の場合は対象外(取扱い対象外?)

 第一種販売取扱所4類指定数量30以下引火点40度以上の場合は対象外(指定数量30以上は取扱い対象外)

 第二種販売取扱所4類引火点40度以上の場合は対象外

 移送取扱所必須

 一般取扱所必須(但し、容器詰替およびボイラー等消費用4類指定数量30以下、引火点40度以上の場合は対象外)

 

○必須:製造所、屋外タンク貯蔵所、移送取扱所、一般取扱所

○対象外条件(第4類指定数量,4類引火点)

 ・<30,>40:屋内貯蔵所、地下タンク貯蔵所、一般取扱所(詰替&ボイラー)

 ・-,>40:屋内タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、販売取扱所

 ・<30(全ての類),-:屋外貯蔵所

・第4類以外:給油取扱所

 

法第12,13条、政令第30条、規則第47条

危険物保安統括管理者 

資格:事業の統括責任者(免状不必要

業務:保安業務を統括管理し、事業所全体の安全を確保

選解任:選解任時は届出、法違反時は市町村長から管理者へ解任命令が可能

 

選任を必要とする製造所等

 製造所:指定数量の3000倍以上

 一般取扱所:指定数量の3000倍以上

 特定移送取扱所(配管15km以上、0.95MPaかつ配管7km以上):指定数量以上

除外条件

 一般取扱所:ボイラー等での消費、タンクや容器への注入

 特定移送取扱所:海域設置以外の配管7km未満

 

事業所ごと(≠製造所ごと)に選任

 

保安員法第14条、政令第36,59条、規則第60,62条

危険物施設

資格:なし(免状不必要

業務:定期点検、異常時の連絡、火災時の応急措置、保安管理

選解任:届出不要

 

選任を必要とする製造所等

 製造所:指定数量の100倍以上

 一般取扱所:指定数量の100倍以上

 移送取扱所必須

除外条件

 一般取扱所:ボイラー等での消費、タンクや容器への注入

 

法第12条、政令第37条、規則第60条

予防規程:個々の製造所の実情にあった保安基準によって安全を確保するため、防災上の見地から作成し、遵守しなければならない自主保安に案する規程

手続等:策定、変更時は市町村長の認可が必要

 

制定を必要とする製造所等

 製造所:指定数量の10倍以上

 屋内貯蔵所:指定数量の150倍以上

 屋外タンク貯蔵所:指定数量の200倍以上

 屋外貯蔵所:指定数量の100倍以上

 地下タンク貯蔵所:不必要

 簡易タンク貯蔵所:不必要

 移動タンク貯蔵所:不必要

 給油取扱所必須

 移送取扱所必須

 一般取扱所:指定数量の10倍以上30倍以下で引火点>40℃の第4類を容器に詰替えるものを除く)

 

制定事項

自衛消防組織、保安教育・巡視・点検・検査・記録、操作・作業基準、補修、工事、非常時の措置、位置・構造・図面

 

法第14条の32、政令第8条の5、規則第62条の4

定期点検:製造所等の所有者等には、位置、構造、設備の基準維持義務が課せられており、定期点検の実施が義務付けられている。

 

実施対象の製造所等(移・地に点検、販・簡・内タン不用)

移動タンク貯蔵所すべて

 移送取扱所すべて(配管>15km7.515km0.95MPa以上のものを除く)

 地下タンクを有する製造所

地下タンク貯蔵所すべて

 地下タンクを有する給油取扱所

 地下タンクを有する一般取扱所

 製造所:指定数量の10倍以上

 一般取扱所:指定数量の10倍以上30倍以下で引火点>40℃の第4類を容器に詰替えるものを除く)

 屋外貯蔵所:指定数量の100倍以上

 屋内貯蔵所:指定数量の150倍以上

 屋外タンク貯蔵所:指定数量の200倍以上

 販売取扱所:不要

 簡易タンク貯蔵所:不要

 屋内タンク貯蔵所:不要

 

点検事項

位置・構造・設備の基準に適合しているか否か

点検実施者

危険物取扱者、危険物施設保安員、危険物取扱者立会い下なら任意

点検時期:一年に一回以上

移動タンクの水圧試験:5年に1回以上

屋外タンクの内部点検:100010000klは原則13年に1回以上

地下タンク貯蔵所の漏れの点検:完成検査を受けた日から15年を超えないものは3年に1回以上

 

保存年数:3年間

1,000kl以上10,000kl未満の屋外タンク貯蔵所の内部点検・・・・原則26年間

移動貯蔵タンクの漏れに関する点検記録・・・・・・・・・・・・・10

上記以外の点検記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

 

法第14条

保安検査:一定規模以上の屋外タンク、移送取扱所は自主点検以外に、一定の時期ごとに、設置者の申請に基づいて、市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない。

 

屋外タンク貯蔵所:タンク底部の板厚、溶接部

 1000kl以上:1/100以上の不当沈下発生等時、臨時保安検査を行う

 10000kl以上:原則8年(基準を満たせば9or10年)に1回、定期保安検査を行う

移送取扱所:構造、設備

 配管>15km、最大常用圧力>0.95MPaで配管>9km:原則1年に1

 

自衛消防組織:大規模危険物施設を有する事業所においては、規模に応じて自衛消防組織を編成することが義務付けられている。

設置義務のある事業所:製造所、一般取扱所において第4類危険物の総計が指定数量の3000倍以上、あるいは移送取扱所において指定数量以上の事業所

除外条件

 一般取扱所:ボイラー等での消費、タンクや容器への注入、装置での取扱

 特定移送取扱所:配管>15km、最大常用圧力>0.95MPaで配管>9km以外のもの、海域設置以外の配管7km未満

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